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 ■ 直腸洗浄で便秘は治らない



自分で腸を洗う


美容や健康に興味のある人に注目されている腸内洗浄。薄めたコーヒーや、蒸留水をお尻から腸内に直接注入し、腸を洗うという積極果敢な対処療法です。特に便秘で悩んでいる人に注目され、コロンハイドロセラピー(大腸浄化水洗浄療法)として初めてこの療法を日本に持ち込んだ青山メディカルクリニック(2005年5月閉院)は大変な人気を集めました。



その後、自分で扱える直腸洗浄キットや各種の洗浄液が発売され、通販で気軽に買えるようになりました。名称も体内エステや直腸エステと商品化されて広がり、「やってみようか」と関心を持つ人はますます増えています。



直腸洗浄経験をすると、「お腹がスッキリした」「肌がキレイになった」「真っ黒い宿便が出た」と感想を話す人も。しかし、お腹がスッキリしたり、肌がキレイになった気がするのは、一時的に便秘が解消されるのだから当然のこと。「宿便が出た」「宿便を出す効果がある」と言う人もいますが、そもそも宿便とは?



宿便は腸のどこにある?

 宿便は一般的に、腸のひだに長年溜まった大便や老廃物、毒素などと説明されますが、実際の腸は宿便が溜まる構造にはなっていません。腸のひだと言われる部分は、腸の蠕動運動によってできたり消えたりするので、実際はそこに宿便が溜まることはありません。腸の細胞の表面に長く大便が付着することもないのです。腸の表面細胞は2〜3日で新しく生まれ変わり、はがれ落ちます。仮に大便が付着したとしても細胞と一緒にはがれ落ちてしまいます。ですから長年の宿便なんて科学的にありえないこと。ただ、腸にくぼみができる腸憩室などの病気では、細菌や老廃物が滞り炎症を起こすことがあります。しかしそれも宿便といったものではありません。



宿便という考え方は誤り


 昭和40年代に起きた健康ブームのなかで、断食修行や絶食ダイエットに挑戦する人たちがいました。そのなかに「黒い便が出た」という声があり、古い民間療法の考えを持ち出して「これは宿便だ」という宿便説が広がったのです。はがれ落ちた消化器官の細胞や腸内細菌の死骸が黒い便の正体。宿便は実際には存在しません。宿便と便秘を関連づけて説明されたり、「宿便は癌の原因」と言われると心配になりますが、だからといって安易に自分で腸内洗浄に手を付けてしまうと危険です。腸内に黴菌が入り腸炎を起こしたりします。また、腸内洗浄を繰り返すと自然の便意を感じにくくなり、便秘を逆に悪化させてしまいます。腸を守る善玉菌も洗浄液と一緒に排出され、体調を崩すおそれも。便秘の悩みから腸内洗浄に注目した人は、その多くが便秘薬が効かなくなって洗浄に目を向けます。



便秘薬を過剰に飲む人が腸内洗浄に興味

 便秘薬も用法を守らず多めに服用しているケースが多く、体に耐性ができて便秘はますます悪化。そういう人が腸内洗浄を始めてしまうと、必然的に使用回数がエスカレートしてしまいます。

 腸内洗浄はなるべく設備の整った専門の医療機関で医師と相談のうえ受けましょう。その前に食生活の改善などなるべく自然な形で便秘を解消できるよう心掛けましょう。




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